こんにちは。バディマーケティング株式会社の佃 祐美です。2026年5月29日に東京・日本橋で開催された「Zoho Accelerate Japan 2026 AI × DX Seminar」に登壇し、MA(マーケティングオートメーション)の出発点としての「Web行動の見える化」について、Zoho SalesIQの活用を軸にお話ししました。
この記事では、当日セッションでお話しした内容をまとめました。「AIで何かしたいけれど、何から始めればいいか分からない」「ツールはあるのに、データを成果につなげられていない」。もしそんな課題を感じていらっしゃるなら、今日から踏み出せる第一歩が見つかるはずです。

イベント概要
・イベント名:Zoho Accelerate Japan 2026 AI × DX Seminar
・開催日:2026年5月29日(金)
登壇者・バディマーケティングについて
私は普段、当社でセールスとマーケティングを兼任し、「どうすればもっと効率よく商談を生み出し、売上成果につなげていけるか」を日々現場で考えています。前職の専門商社では、大手企業向けの商品提案から販促までを一貫して担当しました。「お客様が求めていることを正確に捉え、行動や関心に基づいてアプローチすることが、精度の高い提案と成果につながる」という実感が、本セッションのテーマの出発点になっています。
当社バディマーケティングは、Zohoの認定パートナーとして、MA・CRMを活用したマーケティング支援・営業支援を行っています。社名の「バディ」が表すとおり、お客様の“相棒”として伴走するスタイルを大切にし、ツールを導入して終わりにせず、成果につながる設計から運用の定着まで現場で一緒に手を動かす点が、当社の強みです。
なぜ今、「データ活用」が重要なのか
セッションは、「AIを活用してできることが広がっているこの時代に、マーケティングの現場では何が変わっていくのか」という内容からお話を始めました。
アクセス分析、SEO、コンテンツ制作、スコアリングなど、AIを活用して効率化・高度化できる場面は大きく広がっています。一方で、当社が日々お客様のマーケティングをご支援する中で感じるのは、できることが広がっているからこそ「自社は何から始めたらいいのか分からない」と戸惑う方も多い、ということです。
そこで強調したいのが、どの施策にも共通して必要になる「土台」の存在です。AI活用の成果を左右するのは、AIそのものの性能だけではありません。どのようなデータを、どのような形で、どれだけ蓄積できているか。つまり、データの質と量が重要になります。

MAの第一歩は「Web行動の可視化」から
そして「データ」と一口に言っても、顧客情報・商談情報・問い合わせ履歴など、その切り口はさまざまです。そのなかで当社が特に重要だと考えているのが、お客様の行動に関するデータです。
今は、営業担当者と対面で会う前に、ウェブ上で情報収集をするのが一般的です。皆さまも、何かを買おうと思ったら、まず調べるのではないでしょうか。つまり、お問い合わせをいただいた時点で、すでに検討が大きく進んでいる可能性もあるということです。だからこそ、この「問い合わせ前のWeb行動」をどう可視化していくかが、その後の営業アプローチや提案の精度を大きく左右します。
では、そのWeb行動をどう可視化していくのか。ここがMA活用の第一歩になります。
マーケティングオートメーションの基本となる考え方は、大きく「顧客行動の可視化」と「顧客接点の自動化」の2つに整理できます。MAというと自動化に目が向きがちですが、そもそも顧客の行動が見えていなければ、適切なタイミングで接点をつくることはできません。まず必要なのは、Web行動を見える化すること。そして、その可視化を実現するツールとしてご紹介したのが、Zoho SalesIQです。

SalesIQは「チャットツール」だけではない
SalesIQというと「チャットボットのツールでしょ?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。もちろんチャット機能もありますが、それだけではありません。
SalesIQでできるのは、ウェブサイト上で「誰が」「どのページを」「どれくらい見たのか」を可視化することです。設定はトラッキングコードを埋め込むだけで、専門のエンジニアでなくても簡単に導入できます。当日は、実際の画面をお見せしながらご紹介しました。

ライブ表示で「今この瞬間の訪問者」が見える
セッションの中では、実際の弊社サイトを例に、SalesIQのライブ表示画面を投影しました。今まさにサイトを訪問しているユーザーをリアルタイムで確認でき、ユーザーをクリックすると、新規/再訪問の別、滞在時間、流入経路、現在閲覧しているURLなど、詳細な情報が表示されます。
特に注目していただきたいのが、どのページを、どの順番で見たのか、という閲覧の流れです。たとえば、料金ページ → FAQ → お問い合わせ、という流れで見ている方であれば、導入を前向きに、比較的検討を進めている可能性が高いのではないか、と推察できます。
とはいえ、訪問者全員の行動を一人ひとり人の目で追い続けるのは、現実的ではありません。そこで活きてくるのが、AIの力です。

AIで、自社サイトを「3分」で分析してみた
実際に、弊社のSalesIQデータをAIで分析してみました。手順はとてもシンプルです。
- SalesIQの訪問者データと、CRMの訪問タブのデータを、CSVでエクスポートする
- そのCSVデータをAIに投入し、分析を依頼する
- 分析レポートが完成する

所要時間は、3分ほどでした。専門的な分析スキルがなくても、まずは“分析のたたき台”を本当にすぐ作れる時代になってきています。
ここからが、当日お話しした内容の中心です。「SalesIQ単体」「CRM単体」「両者の掛け合わせ」という3段階で、見えてくるものの違いをご紹介しました。
① SalesIQ単体:「何が起きているか」は分かる
まずSalesIQ単体の分析結果から見えてきたことです(いずれも弊社サイトの一例です。数字の良し悪しではなく、「このデータから何が分かるか」という観点でご覧ください)。
- オーガニック(検索)流入が52%と半数以上を占める
- ランディングページではブログが上位を占め、ブログが集客の柱として機能している
- 新規訪問者と再訪問者を比較すると、再訪問者のほうが滞在時間が長く、エンゲージメントが高い。問い合わせや会社概要ページも見られており、検討度の高い層が一定数いる
ただ、ここに大きな壁があります。SalesIQ単体ですと、その多くが匿名のユーザーです(匿名訪問者98%)。サイト全体として何が起きているかは分かるのですが、「それが誰なのか」までは分かりません。

② CRM単体:「誰が行動しているか」は分かる
一方、CRMの訪問タブには、識別済みの見込み客や連絡先のWeb行動が記録されています。誰が・いつ・どのページを見たのかが個人に紐づき、商談履歴やステータスといった文脈と合わせて活用できます。たとえば営業として、「この担当者は直近で価格のページを何回も見ているから、次の商談ではコスト面の話を中心に組み立てよう」といった準備ができます。
ただしCRMで見えるのは、あくまで識別済みのユーザーに限られます。大部分を占める匿名ユーザーの動きは見えづらいのが実情です。つまり、SalesIQは「何が起きているか(全体)」、CRMは「誰が行動しているか(個人)」と、それぞれ片側半分しか見えていないわけです。

③ SalesIQ × CRM クロス分析:「今、誰にアプローチすべきか」が見える
では、この2つを掛け合わせると何が見えてくるのか。当社がクロス分析の大きな価値だと考えているのが、これまで見えていなかった“間のギャップ”です。
たとえば、再訪問でスコアも高いのに、匿名のまま離脱している、いわゆる「関心は高いのにフォローされていない層」。あるいは、CRMには記録があるけれど、直近でWeb行動がない、「誰かは分かっているけれど活発ではない休眠の層」。そういったところが分かるようになります。
単体では「何が起きているか」か「誰が行動しているか」のどちらかしか分からなかったものが、掛け合わせることで「今、誰にアプローチすべきか」が明確になる。これがクロス分析のもたらす価値です。

データがつながると、意思決定の解像度が変わる
ここまでの話を、一枚の図にまとめました。SalesIQに加え、GA4やSearch Consoleなど、すでにお使いのデータをそれぞれつなげることで、「何が起きているか」だけでなく「誰に、何をすべきか」まで見えるようになります。
これは「AIが大事だ」という話ではありません。AIは、その分析を早く・深くしてくれる手段の一つです。その前提になるのは、分析できるデータを持っていること。だからこそ、まずはSalesIQでWeb行動データを蓄積しておくことが、これからの営業やマーケティングの意思決定の基盤になります。

今日から始める「データ活用の3ステップ」
具体的な進め方は、3つのステップで整理しました。
- SalesIQから始める
入れるだけでデータが溜まる。CSVで出してAIに渡せば、今日から自社サイトの現状が数字で見える - 他ツールとの掛け算
CRM・GA4・Search Consoleと連携。どのデータをどう紐づけるかの「設計」が肝になる段階 - BI化・MA自動化
スコアリングや配信ルールを設計し、数字を見ながら継続的にチューニングしていく「運用」の段階
段階が上がるほど、設計や運用の難易度も上がります。だからこそ、最初から全部やる必要はありません。まずはステップ1、SalesIQで行動データを溜めるところから、今日始めていただければと思います。

【実践コラム】AIプロンプトの基本構成と再現のコツ
「自分でもやってみたい」という方に向けて、実際に使ったプロンプトと再現のコツも共有しました。ポイントは、「分析して」と一言で投げるのではなく、段階を踏んで依頼することです。
人間も、まず現状を把握して、それから分析して、アクションする。それと同じで、AIにも同じようにステップを踏んで依頼すると、アウトプットが整理されてきます。
実際のプロンプト例では、「①数値分析(現状把握)→ ②グラフ・図解による可視化 → ③課題の特定 → ④改善施策の提案」という順番で、SalesIQ単体・CRM単体・統合分析のそれぞれを分析させる構成をご紹介しました。これが大正解とか必勝法というわけではなく、あくまで一つの取り掛かりとしての参考です。

プロンプトはこちら!
添付CSVは、SalesIQとCRM(訪問タブ)からエクスポートしたデータです。
これらを分析し、得られる示唆をレポート形式にしてください。
以下の順番で分析してください。
1. SalesIQデータ単体
- 数値分析
- グラフ・図解による可視化
- 課題の特定
- 改善施策の提案
2. CRM(訪問タブ)データ単体
- 数値分析
- グラフ・図解による可視化
- 課題の特定
- 改善施策の提案
3. SalesIQ × CRMの統合分析
- 相関・傾向分析
- 数値分析
- グラフ・図解による可視化
- 課題の特定
- 改善施策の提案
パネルディスカッション Q&A 抜粋
セッション後のパネルディスカッションでは、参加者の皆さまからさまざまなご質問をいただきました。当社にお寄せいただいたご質問と、その回答の一部をご紹介します。
Q. SalesIQは、Googleアナリティクスなどの他社製品と比べて、どのような利点がありますか?
今回はAIやデータ活用といった観点からSalesIQを紹介したため、「Googleアナリティクスや他のチャットツール・Web接客ツールと何が違うのか」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。
ポイントは、近年、Web行動のトラッキングと、いわゆるチャットツールが一体化してきている、ということです。SalesIQは、Web行動のトラッキングと、チャットツールという「接点」、この2つの世界観が1つのツールにまとまっているところが一番の特徴です。Web上でお客様がどういう行動をしているのかを把握し、そのお客様にどうアプローチしていくのか。その要素が一緒になっているのが特徴だと言えます。
Q. SalesIQの導入に、IT専任者は必要ですか?
SalesIQは単体であれば、今日からでも始められます。私はエンジニアではありませんが、それでもコードを設置してトラッキングができました。本当に簡単に始められる製品です。
ただ、Zoho製品の良いところは、単体でも機能する一方で、ほかの製品とつなげることで、より業務がしやすくなる点にあります。SalesIQなら、特にCampaigns(メルマガ配信ツール)やCRMにつなげることで、より世界観がつながって活用しやすくなります。複数の製品を連携して使う場合は、専任者がいるに越したことはありません。
マーケティングの観点では「マーケティングの知識」と「業務フローへの理解」の両方の視点が大切だと思います。マーケティングの知識やセオリーだけで進めるのではなく、現場の業務に詳しい方、いわゆる社内の導入推進者の方と一緒に取り組むことで、活用・定着がスムーズになりやすくなります。
また、導入するだけではなく、活用・定着がうまくいくケースでは、現場任せだけにせず、組織全体として取り組む姿勢があることが、成果につながるひとつのポイントだと感じることが多いです。
まとめ:AIは手段、主役は「お客様の行動」と「データ」
当日お伝えした、2つの持ち帰りポイントをあらためて。
- AI活用の土台になるのは「質と量が揃ったデータ」。SalesIQなら、今日からWeb行動データの蓄積を始められ、それが意思決定に使えるデータ資産になっていきます
- データを掛け合わせると、見えるものが変わる。SalesIQ・CRM・GA4などをつなげることで、断片的だった情報が「意思決定のためのデータ」になり、その分析を深める手段としてAIがあります
AIは手段であって、主役ではありません。主役は、皆さまのサイトに来てくださるお客様の行動であり、その行動をためているデータです。
「何が起きているか」と「誰が行動しているか」。この両方をつなぎ、「今、誰にアプローチすべきか」へと変えていく。それが、データを成果につなげる第一歩です。
データ活用の伴走パートナーをお探しなら
「連携したいけれど、何から始めればいいか分からない」「データはあるけれど、活かしきれていない」。実は、こうしたご相談を一番多くいただきます。
当社バディマーケティングは、単なるツール導入にとどまらず、成果につながる設計から運用の定着まで、“バディ(相棒)”として伴走するスタイルでご支援しています。SalesIQをはじめとするツール連携の最適化、MAシナリオの設計・自動化、BI(分析環境)の構築、MCP連携(AIと各種ツールをつなぐ仕組み)の設計・実装、Zoho導入・運用の伴走支援まで、お気軽にご相談ください。
講師プロフィール

バディマーケティング株式会社
ビジネスディベロップメント
佃 祐美
バディマーケティング株式会社にて、セールスとマーケティングの両面を担当。前職では、専門商社にて大手企業向けに商品提案からセールスプロモーションまでを一貫して手掛ける。顧客の課題やニーズを丁寧にヒアリングしながら、業界動向や競合分析を踏まえた最適な商品企画・販促施策に従事。その過程で、「顧客が求めていることを正確に捉え、行動や関心に基づいたアプローチを行うことが、精度の高い提案と成果につながる」という考えを強く実感する。現在はその経験を活かし、顧客視点での情報提供と、実践的かつ成果に直結するマーケティング支援に注力している。
