展示会やセミナー、ウェビナーなど、マーケティング施策が増えると、「どの顧客がどの施策に参加したのか」「どの施策が商談につながったのか」を把握しづらくなります。Zoho CRMではタグを使って参加履歴を管理できますが、施策が増えるほど管理が複雑になり、成果も確認しづらくなります。
そこで役立つのが、Zoho CRMの「キャンペーン」機能です。本記事では、キャンペーン機能の概要やタグとの違い、運用時のポイントを解説します。
Zoho CRMのキャンペーン機能とは?
Zoho CRMの「キャンペーン」機能は、展示会やセミナー、メール配信などのマーケティング施策を登録し、その施策と見込み客・連絡先、商談などを関連付けて管理するための機能です。
たとえば、展示会に出展した場合を考えてみましょう。
Zoho CRMの「キャンペーン」タブに「2026年○○展示会」というマーケティング施策のレコードを作成し、そこに展示会で獲得した見込み客を関連付けておけば、
- どの見込み客が展示会に参加したのか
- その後、商談につながったのか
- 施策にどれくらい費用がかかったのか
- 施策からどれくらい売上が生まれたのか
といった情報を、キャンペーンを起点に確認できるようになります。
つまり、単純に「この人は展示会に参加した」という情報を残すだけではなく、マーケティング施策とその後の営業成果をつなげて管理できることがキャンペーン機能の大きな特徴です。


展示会の実施費用や売上、商談状況を確認できる概要画面
なお、名前が似ていますが、Zoho CRMの「キャンペーン」機能と「Zoho Campaigns」は別のものです。
Zoho CRMのキャンペーンはマーケティング施策そのものを管理する機能である一方、Zoho Campaignsはメールマーケティングに特化したZohoアプリケーションの製品名です。
両者を連携すると、Zoho Campaignsで実施したメール施策の反応をZoho CRM側で確認する、といった使い方もできます。


タグ管理との違いから見るキャンペーン機能のメリット
展示会やセミナーなどをキャンペーン機能を活用して管理すると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
マーケティング施策と顧客を紐付けて管理できる
キャンペーンタブに作成したマーケティング施策の各レコードには、複数の見込み客・連絡先を関連付けることができます。逆に、一人の見込み客や連絡先を複数のキャンペーンレコードに関連付けることも可能です。
そのため、
展示会A /セミナーB / ウェビナーC
のように複数のマーケティング施策に接触した顧客についても、それぞれの施策との関係をCRM上に残していくことができます。
もちろん、タグでも同様の管理は可能です。しかし、施策が増えるほどタグの種類も増え、管理が煩雑になりがちです。また、Zoho CRMのタグには、利用プランに応じて作成できるタグの数や、1つのレコードに付けられるタグの数に上限があります。(例:Enterpriseプランでは1レコードにつき最大10個、1つのタブ(モジュール)につき最大100個)
Zoho CRMのキャンペーン機能であれば、こうしたタグの上限に左右されず、施策ごとに顧客との関係を整理できるため、より継続的なマーケティング施策の管理が可能です。
施策ごとの反応を管理できる
キャンペーンレコードに見込み客や連絡先を関連付ける際には、マーケティング施策への参加・反応状況もステータスで管理できます。
たとえば展示会であれば、
- 招待済み
- 参加
- 不参加
- フォロー済み
など、自社の運用に合わせてステータスを設計しておくことで、「対象者がその施策に対してどのような状態なのか」を管理しやすくなります。タグでも「展示会Aに参加した」という情報を残すことはできますが、「招待したが参加しなかった」「参加後にフォローした」といった状況まで管理するには、ステータスごとにタグを作成・更新する必要があります。
一方、キャンペーン機能では、施策への参加履歴と、その施策に対する顧客の反応を分けて管理できます。 そのため、タグを増やすことなく、「招待済み」「参加」「不参加」「フォロー済み」などの状況を整理しやすい点がメリットです。
マーケティング施策の費用対効果を確認しやすい
Zoho CRMのキャンペーン機能では、予算や実際の費用、予想売上などの情報を管理することもできます。また、キャンペーンタブに見込み客や連絡先を関連付けるだけでなく、商談の「関連キャンペーン」に該当するキャンペーンを設定することで、どの施策が商談につながったのかを管理することも可能です。

これにより、マーケティング施策にかかった費用と、その施策に関連する商談の件数や金額を組み合わせて、成果を振り返りやすくなります。ただし、キャンペーンレコードに見込み客や連絡先を関連付けただけで、商談や売上が自動的に紐付くわけではありません。
また、一人の顧客が複数の施策に参加して商談化した場合でも、商談の「関連キャンペーン」に設定できるのは基本的に1つのキャンペーンレコードです。そのため、複数の施策それぞれが売上にどの程度貢献したかを、関連キャンペーンだけで正確に把握できるわけではありません。
施策ごとの成果を確認するには、商談とキャンペーンをどのように関連付けるか、どの商談を成果として集計するかといったルールを決めておくことが重要です。
たとえば、
- 「展示会Aには200万円かかったが、関連する商談が合計500万円分生まれた」
- 「セミナーBには100人参加したが、商談につながったのは2件だった」
といった形で、施策ごとにかかった費用や商談につながった金額・件数を比較できれば、次回以降のマーケティング予算を考える材料になります。
ただし、商談が生まれたからといって、必ずしも受注につながるとは限りません。たとえば、500万円分の商談が生まれても、そのすべてを受注できるわけではないため、費用対効果を評価する際には、商談金額と実際の受注金額を区別して確認することも大切です。施策を「実施して終わり」にせず、CRMに蓄積された営業データと組み合わせて成果を振り返れることは、Zoho CRMでキャンペーンを管理する大きなメリットです。
運用のポイント
ここまで見ると、「それならタグ管理ではなく、すべてキャンペーン機能で管理すればよいのでは?」と思うかもしれません。たしかに、展示会やセミナーなどの参加状況や成果を詳しく管理したい場合には、キャンペーン機能が有効な選択肢となります。一方で、実際の現場では運用を続けられるかどうかも重要なポイントです。
目的に合わせて考える
タグとキャンペーンは、どちらかが必ず正解というものではありません。
たとえば、年間数回程度のイベント参加履歴を簡単に残したいだけであれば、タグによる管理でも十分な場合があります。一方、
- 展示会やセミナーを継続的に実施している
- 一人の顧客が複数の施策に参加する
- マーケティング施策から商談までを追いたい
- 施策ごとの費用対効果を確認したい
といった場合には、キャンペーンを活用するメリットが大きくなります。 重要なのは、機能を使うこと自体を目的にするのではなく、「CRM上で何を把握したいのか」から逆算して管理方法を決めることです。
キャンペーンを作成するルールを決める
キャンペーンを利用する場合、基本的には施策ごとにキャンペーンを作成していくことになります。
しかし、
- 展示会ごとに作るのか
- セミナーごとに作るのか
- メール配信もキャンペーンとして管理するのか
- 問い合わせなども含めるのか
といったルールが決まっていないと、担当者によって登録方法がばらばらになってしまいます。キャンペーン機能を使い始める前に、「何を1つのキャンペーンとするのか」を定義しておくことが重要です。
見込み客をキャンペーンに紐付ける運用を考える
キャンペーンレコードという「箱」を作っただけでは、顧客との接点履歴は蓄積されません。
展示会で獲得した名刺データやセミナー申込者などを、どのように該当キャンペーンへ関連付けるのかも設計する必要があります。CSVからインポートするのか、フォームから登録するのか、既存の見込み客を追加するのか。
入り口によって運用方法が変わるため、リード獲得からCRM登録までの流れとセットで考えることがポイントです。
自動化・開発が必要になるケース
「展示会への参加があったら自動的にキャンペーンを作成する」
「既存の見込み客がセミナーに申し込んだら、自動で該当キャンペーンに関連付ける」など、
人の操作をできるだけ減らしたい場合は、標準機能だけではなく、自動化やカスタマイズを検討するケースもあります。理想的なデータ構造を作ることだけを優先すると、かえって仕組みが複雑になり、現場で使われなくなってしまうこともあります。
そのため、
「どこまで正確に管理したいか」
「どこまで運用負荷を許容できるか」
「どこまで自動化するか」
のバランスを考えることが大切です。
まとめ
Zoho CRMのキャンペーン機能を活用すると、展示会やセミナーなどのマーケティング施策と見込み客・連絡先を関連付け、商談などの成果も確認しやすくなります。
タグによる管理とは異なり、施策ごとの参加状況や費用、商談との関係を整理できるため、マーケティング活動の振り返りにも役立ちます。一方で、キャンペーンを作成するだけで情報が自動的に整理されるわけではありません。どの単位でキャンペーンを作成し、顧客や商談とどう関連付けるかを、自社のマーケティング活動や運用に合わせて設計することが重要です。
バディマーケティング株式会社では、Zoho CRMを活用した営業支援に加え、デジタルマーケティングのコンサルティング・施策実行まで一貫して支援しています。「自社の場合はどのように設計するのが最適かわからない」「マーケティング活動と営業管理の連携に迷っている」など、導線設計の整理から顧客情報を活用したマーケティングまで、お困りごとがあれば、お気軽にご相談ください。

