効果1:複雑な顧客管理にも対応するCRM環境の実現
効果2:反響対応を可視化しスピードと確実性を強化
効果3:営業プロセスの標準化と活動データの全社活用

活用したサービス
●顧客管理システム「Zoho CRM Plus」
●マーケティングオートメーションツール「SATORI」
●ビジネスチャットツール「Slack」
●連携支援サービス「バディコネクト」
リストインターナショナルリアルティ株式会社 東京オフィス
List Sotheby’s International Realty
設立:2009年10月
業種:不動産(国内・海外の高級不動産仲介)
URL:https://list-sir.jp/
https://list-sir.jp/lp/member-site

世界80以上の国と地域に広がる高級不動産仲介ブランド「Sotheby’s International Realty 」の日本法人である『List Sotheby’s International Realty』。上質な不動産のみを選りすぐり、東京都心や全国のリゾート別荘、そしてハワイ、アジア、その他世界の不動産情報をワンストップでお客様へご提案できる営業体制を築いている。富裕層のお客様に特化したブランドとして、国内外に広がる独自のルートでプレミアムな不動産情報を入手し、クロスボーダーの取引ができることが強み。
※本事例の内容は、公開日(2025年10月)時点の情報です。
導入の背景
富裕層向けのグローバル不動産ビジネスを展開するリストインターナショナルリアルティでは、2021年頃から1億円超の高額物件に特化した営業戦略を推進。デジタルカタログによる集客とMAツール「SATORI」を活用したマーケティング施策により、10万件を超える富裕層データを蓄積していたが、問い合わせ対応(不動産業界では“反響対応”と呼ばれる。以下、反響対応)や顧客管理、営業活動のプロセスには課題を抱えていた。そこで同社は、柔軟な顧客管理を可能にする「Zoho CRM」とBIツール「Zoho Analytics」を含む「Zoho CRM Plus」を導入。さらに「Slack」で反響対応の可視化とリアルタイム共有を実現し、従来利用していたSATORIを「バディコネクト」で連携させることで、富裕層ビジネスに最適化されたCRM環境と営業の一元管理体制を構築した。
理想の顧客管理を阻む3つの課題
複雑な顧客関係に対応できない既存CRMの限界
富裕層顧客は契約主体が個人や法人など取引ごとに異なり、1顧客で20件超の売買が発生することも。従来のCRMは顧客間の関係性や履歴を整理できず、同じ顧客が個人・法人で別データとなり全体像を把握できなかった。
営業プロセスの
属人化と情報の分散
営業担当が個別に顧客情報を管理していたため、誰がどの顧客を担当するか全体で把握できず、リーダーも状況を定量的に把握できなかった。担当間の連携や引き継ぎが滞り、機会損失につながることもあった。
反響対応の追跡不足による重複対応と対応漏れ
月1,000件を超える反響に対し、旧来の社内チャットでは情報が流れてしまい、誰がどの反響にいつ、どのように対応したかを追うことができなかった。その結果、重複対応や対応漏れが発生していた。
「ZohoCRM」×「連携基盤」のユーザーベネフィット
CRMで顧客をグループ化し、関係性を一元管理

複雑な契約形態に対応するため、Zoho CRMで「顧客グループ」という概念を定義。個人・法人・代理人など異なる契約主体をグループ化し、関係性や取引履歴を一目で把握できるようにした。その結果、リピートにつながる提案の精度が高まった。
CRMの更新内容をSATORIに自動反映し、施策精度を向上

Zoho CRMでの更新内容をSATORIのタグにリアルタイムで反映し、成約情報や反響の物件エリア等に応じた顧客属性の自動設定を実現。パーソナライズされたマーケティング施策のターゲティング精度と実行スピードが大きく向上した。
Slack連携でシステム定着を促進し、反響対応を可視化

反響発生の通知や対応状況はSlackで即時共有され、営業はスタンプ操作だけでZoho CRMに記録できる。通知を営業対応が必要な情報だけに絞ることで現場の対応を効率化。未対応の案件には自動継続アラートを通知することで対応漏れが解消され、成約者や商談中の顧客には担当営業名を表示して重複対応を防いでいる。
「Zoho CRM × バディマーケティング」の選定理由
富裕層ビジネスの特殊性に対応できる柔軟なカスタマイズ性
多国籍の富裕層顧客、多言語対応、国際電話番号の管理など、通常の不動産特化CRMでは対応が難しい業務要件に対し、Zoho CRMの高い拡張性が決め手となった。豊富な顧客管理機能や優れた検索性に加え、柔軟なデータ項目の設定や多彩な自動化ワークフローにより、自社業務に最適なCRM環境を構築できた。
「ビジネスに寄り添う提案」が信頼の決め手に
ZohoやSATORIの連携支援実績と両製品への深い知見に加え、他ベンダーが「ビジネスをシステムに合わせてください」と求める中、バディマーケティングは「自社のビジネスや強みにシステムを馴染ませる」という逆のアプローチを提示。現場課題を深く理解し、既存フローを活かした改善提案で信頼を獲得した。


お客様インタビュー

私たちの特殊な業務内容を一番ご理解いただけたのがバディマーケティングさんでした。技術だけではなくマーケティング目線でお話しくださり、本当に私たちに寄り添いながら課題解決に向き合ってくださると感じたことが、選定の決め手になりました。
リストインターナショナルリアルティ株式会社
東京オフィス ウェルスマネジメント事業本部
DXチーム マネージャー 秋田 裕未花 氏
複雑化した富裕層ビジネスに対応するCRM刷新プロジェクト
当社では2020年頃からSATORIを活用したマーケティングオートメーションに取り組み、デジタルカタログを起点とした集客で10万件を超える富裕層顧客データを蓄積してきました。しかし、営業プロセスでは属人的な運用により、獲得したリードを十分に活かしきれず、反響を最大限に活用できていませんでした。
特に富裕層のお客様は、契約主体が個人・法人・代理人など多岐にわたり、1顧客で10〜20件の取引を行うこともあります。従来の不動産業向けCRMは、「一人の顧客が一度だけ売買取引する」前提で設計されていたため、名義違いやリピート成約による重複登録が頻発し過去の対応や成約履歴が追えず、現場対応やデータ分析に支障をきたしていました。さらに、従来のCRMのシステム構造が当社の実態に合わず、入力されたデータも有効に使えないまま、組織全体で顧客情報やデータ分析に活かせない状態が常態化していました。
こうした状況を踏まえ、CRMの刷新にあたり複数のベンダーを比較検討しましたが、バディマーケティングさんは、私たちのビジネスモデルや業務構造を最も深く理解してくださったと感じています。他社がツールの機能説明に終始する中、バディさんは「現場にどうフィットさせるか」「既存の業務をどう活かすか」といった実務面の配慮に加え、マーケティングの仕組みまで踏まえた課題整理と解決策を提案してくれました。こうした姿勢が、選定の決め手となりました。
半年の要件定義で見えてきた業務の全体像
要件整理には半年以上かかりましたが、振り返るとこの期間は非常に意義深い時間だったと実感しています。営業やマーケティング、契約管理など複数部門にまたがる業務フローを一つひとつ丁寧に洗い出す中で、「こういう業務があったのか」「この部分で情報が止まっていたのか」といった新たな気づきも多く、業務全体を初めて明確に把握できた場面も少なくありませんでした。
その中でも特に大変だったのが、契約主体が案件ごとに異なり、どの契約が誰と紐づいているのかを営業に都度確認しなければ把握できなかったことです。こうした複雑な情報を丁寧に整理・構造化し、過去数年分の紙の契約台帳からさかのぼってCRMに落とし込んでいくプロセスは決して容易ではありませんでした。だからこそ、この取り組みこそが、自社の強みを活かす顧客管理の基盤づくりに不可欠なステップだったと感じています。
“入力されないCRM”から“データが蓄積されるCRM”へ
新システム導入における最大の懸念は、「現場がその必要性を感じられず、活用が定着しないこと」でした。そこで今回は、使い慣れた社内チャットツールをSlackへ段階的に移行することで、既存の業務フローを維持しながら、現場の負担を抑えてスムーズな定着を図りました。
具体的には、Zoho CRMとSlackを連携させ、発生した反響とCRM上の契約情報を紐づけた内容をSlackに自動配信。営業はスタンプを押すだけで対応状況がCRMに記録される仕組みを構築しました。対応がない場合は自動でリマインドが送信され、対応漏れは大幅に減少しました。営業からは「入力せずとも活用できる」と現場からも好評で、データ蓄積の仕組みが定着し始めています。
従来のやり方を一気に変えるのではなく、少しずつ見直すことで、新しい仕組みは現場に自然と浸透していくのだと実感しました。今後も、現場が無理なく使えるシステム環境を支えながら、DXの着実な推進を目指していきたいと考えています。
リストインターナショナルリアルティ株式会社
東京オフィス ウェルスマネジメント事業本部
DXチーム 森田 彩瑛 氏

マーケティングの精度向上とデータ活用のさらなる深化へ
CRMで入力・更新されたデータは、Slackへの通知に加え、SATORIにも即時反映されます。顧客属性に応じて、SATORIに該当するタグを自動的に付与する仕組みを整えたことで、興味・関心に沿ったパーソナライズ配信やナーチャリング施策のスピードと精度が大幅に向上しました。また、入力ミスや転記といった手間も大きく削減されています。
現在は第2フェーズとして、営業担当が直接CRMに入力する運用へと移行中です。入力内容は週報にも自動で反映され、営業個々人の商談状況や目標に対する売上進捗を全体で可視化できるようになり、日々の業務フローに無理なく組み込まれています。さらに今後は、登記情報や物件情報との連携も視野に入れ、CRMをより柔軟かつ多面的に活用できる統合基盤へと発展させています。BIツールのZoho Analyticsも活用し、契約・営業・マーケティングのデータを横断的に可視化するダッシュボードの構築を推進中です。
以前は、成約金額による顧客の分類に1週間ほどかかることもありました。今はCRMで自動判定されるため、業務効率が大きく向上しました。管理できる情報の幅が広がり、今後のデータ活用にも大きな可能性を感じています。
リストインターナショナルリアルティ株式会社
東京オフィス ウェルスマネジメント事業本部
DXチーム 鈴木 有紀 氏

SATORI エバンジェリストによるZoho CRM Plus × SATORI × Slack 活用術
SATORIエバンジェリスト:SATORI活用による優れたマーケティング成果が評価され、SATORI社に認定されたスペシャリスト

Zoho CRMで顧客情報を統合・構造化
公式サイトや不動産ポータルからの問い合わせメールは、バディコネクト経由でZoho CRMに自動的に登録される仕組みを構築。会員サイトのCSVデータも取り込み、分散していた情報を一元化。さらに、個人・法人・代理人など異なる名義を「顧客グループ」としてまとめることで、関係性や取引履歴を見える化し、リピート契約に繋がるよう提案内容の精度と迅速性を高めている。


Slack連携で反響対応をリアルタイムにトラッキング
月間1,000件を超える反響のうち、営業対応が必要なものだけを自動抽出し、Slackで関係者に自動通知。スタンプ操作による対応記録や未対応時のアラート・リマインド通知も自動化され、スマートフォンからの即時対応も可能に。対応漏れや重複対応の防止につながり、営業現場の対応精度とスピードを両立している。


SATORI連携で顧客属性を自動反映・活用
成約物件の価格などに応じた顧客属性をZoho CRM側で自動算出し、SATORIのタグへリアルタイムで反映。これにより、Excelに頼っていた属性付与作業の工数を削減しながら、顧客一人ひとりに最適化されたメルマガ配信やシナリオメールを展開可能に。パーソナライズされたマーケティング施策により、反応率や関心度の向上にもつながっている。

営業・経営データをリアルタイムに可視化・集計
商談の進捗や契約見込みといった営業情報は、Zoho CRMのレポート機能やZoho Analyticsのダッシュボード、クラウド型表計算のZoho Sheetでリアルタイムに可視化。週次の営業会議や経営報告、四半期レビューなどで使用するデータも自動集計され、従来の手作業が不要に。情報の確認・共有がスムーズになり、迅速かつ的確な意思決定を支えている。



ユーザー様からZoho CRM活用のアドバイス

CRM導入には「信念と根気」が不可欠だと実感しています。データの移行や整備は想像以上に手間がかかり、信念がなければ途中で挫折しかねません。私たちの場合、要件定義だけで半年、開発やデータ移行を含めると1年以上を要しました。リリース後も現場で活用しやすいようにカスタマイズを重ねており、いまだに改善を続けています。特に、要件定義には十分な時間をかけることをお勧めします。この工程を圧縮すると開発段階でさまざまな問題が発生し、結果的に遠回りになるからです。リリースを急ぐよりも、納得するまで要件定義をやり抜くことが成功の鍵です。
そして何より重要なのは、「システムにビジネスを合わせる」のではなく、「ビジネスの強みを消さない導入」を心がけること。バディマーケティングさんのように、私たちのビジネスモデルに寄り添いながら、良さを活かしたまま伴走支援してくれるパートナーの存在が、プロジェクト成功への近道だと思います。
(秋田 裕未花 氏)
バディマーケティング株式会社 担当者コメント
リストインターナショナルリアルティ様では、独自のビジネスモデルに最適化されたCRMソリューションが求められていました。私たちはマーケティングの視点を基盤に、反響対応漏れの解消を起点として、SlackやSATORIとの連携によって施策を高度化するまでの全工程を、一貫してご支援しました。加えて、“成果を生む仕組み”として現場に根づかせるために、業務整理や要件定義を含むコンサルティング支援も実施しています。
今後も、お客様のビジネス成長に伴走する“バディ(相棒)”として、実務と戦略の両面から継続的にご支援してまいります。

バディマーケティング株式会社は、「SATORI」や「Zoho CRM」をはじめとするマーケティング・営業支援ツールの導入から、ツール間の連携設計、活用定着に向けたコンサルティングまでを一貫して支援しています。
新規ツールの導入やシステム連携など、営業DXやデジタルマーケティングの強化に関する課題がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

